医療人材のプロとして新型コロナワクチン接種を支える

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新型コロナワクチン接種の足取りを振り返る

2020年4月7日。新型コロナウイルス感染症の影響が深刻化し、7都道府県に初めて緊急事態宣言が発令されました。そこからの日本社会の足取りは、まさに新型コロナとの闘いの日々であったとも言えるでしょう。病床の確保、行動制限や相次ぐ変異株への対応。中でも注目を浴びたのが、ワクチン接種ではないでしょうか。

加速化していった接種スケジュール

ワクチン接種のスケジュール(2021年2月から2021年6月までの流れ)

コロナワクチン接種はまず、2021年2月から全国の医療従事者を対象に先行接種が行われ、次いで65歳以上の高齢者を対象とした接種へと段階的に進んでいきました。5月には当時の内閣総理大臣菅首相より、1日100万回の接種目標が掲げられ、政府や自治体で接種に向けた準備が急ピッチで進行。5月12日には、国の接種センターがオープン、6月21日からは企業や大学などが実施する職域接種が本格スタートしたことからも、集団免疫の形成に向け、迅速な実施が目指されていたことが伺えます。

接種の広がりと課題への対応は表裏一体

さまざまな課題のうちの1つに『打ち手の確保』が挙げられました。医師や看護師に加え、歯科医師にも接種が認められ、また薬剤師は薬剤の充填補充の役割を担うなど、医療従事者の総力戦ともいえる様相を呈します。日本調剤に所属している薬剤師からも多くの薬剤師が接種運営に協力しました。


未曽有のコロナ禍においては、全国規模の集中的なワクチン接種も、また前例のないことであり、本当に接種を受けられるのか、やきもきしながら状況を注視していた方も多いのではないでしょうか。このような中、日本調剤グループの株式会社メディカルリソースも新たな役割を見出すことになりました。

担当者が語る、接種支援に向けたアクション

薬剤師や医師・看護師などの医療従事者の派遣・紹介事業を展開し、医療機関と求職者のマッチングを行っているメディカルリソース医師事業部の横田が当時の様子を振り返ります。

メディカルリソース医師事業部・横田のインタビュー中の様子

肌で感じた接種加速化の機運

メディカルリソースはその事業内容が医療機関の人的課題の解消という役割を帯びているので、コロナ禍においてもこれまで同様に医療機関のニーズに応えてきましたが、自治体の集団接種事業に向けた医師の紹介というアクションも新たに生まれました。ワクチンの先行接種がいよいよ進みはじめた2021年1月末ごろより、東京や神奈川など人口の多い自治体から、「医師をどのようにして集めるか」という声が聞こえてきたのを覚えています。

3月ごろからは、私の担当していた北関東エリアでも要望の声が大きくなりはじめ、当社の全国の支店でも対応が本格化していきました。自治体の皆さまにとっては当然、初めての取り組みで、どうしたら打ち手を確保できるのか、何から始めればよいか、大変苦慮されていたことが印象的でした。

メディカルリソースとしてできること

自治体による1~2回目の接種運営のピークの1つは6月ごろから9月ごろにかけてだったと記憶していますが、私の相対する自治体の担当者の方も相当気を揉んでいたことが伝わりました。私たちは医師とコミュニケーションをとり、医師を集めるプロです。ですから、人材の面では私たちに思い切りお任せください、ということを伝えていました。


集団接種の難しさは、シンプルですが、「いかに医師を集められるか」に尽きます。医師にも常勤・非常勤に加え、一日限りの勤務であるスポット勤務などさまざまなワークスタイルがあります。当社はいずれの勤務体系の紹介もカバーしていたので、あらゆるチャネルを駆使しました。ただ、もし仮に当日の会場で、一人でも医師の欠員が出たとします。その場合、当日予定していた会場全体の接種のスケジュールや動線が崩れてしまい、大げさに言えば時間通り来てくださった接種者の方が、接種を受けられない事態に陥るかもしれません。そうなると私たちは当然欠員の充足を行うわけですが、ピーク時は、明日の会場は無事に接種が終わるか、突然欠員がでないか、同僚と常に気を張っていたのが思い出されます。


ただ一方で、責任の重さが大きなやりがいであったのも事実です。実は私の母が、ウェブ経由の接種予約をなかなかできず、落ち込んでいた様子を間近で見ていました。母のような人が世の中にたくさんいらっしゃるのではないか。張り詰めた日々の中で、何としても円滑な接種の運営に貢献しなければと思い続けていました。

医師の皆さんとともに乗り越える

メディカルリソース医師事業部・横田のインタビュー中の横顔

サポートを続けていると、医師の皆さんも悩みを抱えていたことが分かってきました。接種会場の数は多く、環境もそれぞれ異なるので、初めて向かう会場で滞りなく実施できるか、不安もあったと思います。私たちメディカルリソースには“Face to Face”という企業文化があります。これは本業である転職サポートの際に、Face to Faceで医師の皆さんにお会いして不安や願望をきちんとくみ取るということです。コロナ禍で直に対面でお会いするのは難しくなりましたが、コミュニケーションをとり、リアルな関係性を築いていくスタンスには変わりありません。今回も、できる限り医師と電話で直接コミュニケーションを図り、不安の解消に努めていました。「一回でも事前に話せると安心する」と私たちの対応を、喜んでくれる医師も多かったように思います。加えて、どうしても会場の人手が足りないとき、もともとつながりのあった先生が、紹介を回していただき何とか埋まった――ということもありました。そういった関係性には本当に感謝をしています。

ワクチン接種支援を通じて見据える今後

「メディカルリソースなら安心して任せることができる」と評価いただいて、継続して3回目の接種のご依頼をいただいたお客さまもいます。本業は医療機関への人材紹介ですが、自治体の皆さまにも地域の医療体制づくりに貢献できる会社なのだと認知いただけたのでないかと考えます。もちろん医師の皆さまとも、リレーションが強まったと感じています。


まだまだコロナ情勢も先行きがはっきりしているわけではありません。ただ、変わらないことは、私たちは医療におけるヒューマンリソースのプロフェッショナル集団であるということ。扱っているテーマは『人』ですから、関係性が非常に重要なビジネスであると言えると思います。平時でも緊急時でも、ヒューマンリソースの観点から医療に貢献し続ける。医療従事者の皆さんのキャリアや働き方を支え続ける。この役割を全うすべく今後もアクションし続けたいと思います。

※この記事は2022年7月時点の状況をもとに作成しました。

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