「もしも」に備えるために!災害についての認識を深めよう【栄養だより2024年9月号】

栄養のはなし

机の上に並べられた防災マップと防災グッズ
日本調剤の薬局(一部のみ)では、季節に合わせた健康情報をお届けする情報紙として、毎月「栄養だより」を配布しています。ご自身の食事や健康に興味を持ち、生活習慣を見直すきっかけにしてもらいたいという思いから、管理栄養士が健康に関する情報を発信しています。その中から一部内容を編集してご紹介します。

災害への心構えを身に付けるために

内閣府では毎年9月1日を「防災の日」、8月30日~9月5日を「防災週間」として定めています。いつ発生するか分からない台風・暴雨・地震などの災害に備えるためにも、この機にご家族や周りの方と災害についての認識を深めましょう。

災害時に必要な栄養素

災害発生から経過した時間に応じて、食事・生活で注意しなければいけない点や、摂取すべき食事は異なります。以下の表で確認しましょう。


災害発生から食事・生活の注意点食事の具体例水分
~24時間以内
エネルギーが摂れる食料と飲料水を確保する            ・おにぎり
・パン
1人につき 1日3L
~72時間以内
高エネルギーの食料や水分を摂取する
・カップラーメン
・カレーライス
1人につき 1日3L
4日~1か月
たんぱく質を確保し、栄養バランスを整える            ・魚の缶詰
・お弁当
1人につき 1日3L
2か月以降
・ビタミン、ミネラルを補う
・活動量を増やす             
・野菜ジュース
・果物缶
1人につき 1日3L


食物アレルギーがある方や、塩分やたんぱく質などの食事制限が必要な方、乳幼児のご家族は、災害時でも食べられる非常食を日ごろから準備しておきましょう。また、避難所ではなるべく早く調理担当者や管理栄養士に相談しましょう。

災害時に生じやすい3つの健康障害

水の入ったグラスを持つ人

(1)脱水

ストレスやトイレの事情によって水分摂取を我慢する場合や、暑い時期高齢者は脱水状態になりやすいです。脱水は尿路感染エコノミークラス症候群などの要因にもなるため、こまめな水分補給を心掛けましょう。

洗面台で石鹸を使って手を洗う人

(2)食中毒

食中毒予防のため、調理・食事の前後はよく手を洗いましょう。また、おにぎりはラップを使って握る、個包装のパンなどは包装部分を持って食べるなどして、手が直接食品に触れないよう気を付けましょう。食料は冷暗所で保管し、加熱食品は中心部まで火を通すことも大切です。

胸元に両手を当てる女性

(3)心身の機能低下

災害時は不安になりやすいです。気持ちを落ち着かせる呼吸法として、「6秒で大きく吐き、6秒で大きく吸うこと」を朝夕5回ずつ行う方法があるため、試してみましょう。他にも、お互いに声を掛け合い、コミュニケーションをとることも大切です。

災害伝言ダイヤル

NTTでは災害時、「171」番に電話をかけると30秒間のメッセージを登録・確認できるサービスを提供しています。連絡を取りたい電話番号を入力し、①名前②いる場所③けがの有無④今後の予定などの伝言を録音・再生することができます。災害時に連絡を取りたい相手の電話番号は、あらかじめメモに残すなどしておきましょう。

災害に備えよう!お薬情報のおすすめの管理方法

  • スマートフォンを操作するワイシャツ姿の人
    災害時は処方薬やお薬手帳が破損したり、濡れてしまったりすることがありますが、慌てて自宅に取りに帰るのは危険です。「電子お薬手帳」では、いつも持ち歩くスマホでお薬の情報を管理できます。災害に備えるためにも、ぜひ紙のお薬手帳とあわせてご活用ください。

管理栄養士のお悩み相談部屋

普段の食事ができない災害時に、おすすめの食材や備品はありますか?

災害時にあると便利な食材や備品をご紹介します。

災害時におすすめの食材 アルファ化米

アルファ化米とは、炊いた(=アルファ化した)ご飯を熱風で急速乾燥させたお米のことです。調理法はお湯や水を注ぐだけと非常に簡単で、災害時の食材として適しています。おかゆや味付きなど種類も豊富なので、ご自身の好みに合わせて備蓄しておきましょう。

災害時に便利!洗い物が減らせる備品

災害時は水が貴重です。日ごろ使っている以下のような備品を活用して、洗い物で使用する水を減らしましょう。

食品用ラップ…お皿に敷くと、洗い物が不要になります。

アルミホイル…食器の形に形成すれば、耐熱皿代わりになります。 

キッチンばさみ…まな板を使わず、食材を切ることができます。
  • 野菜を持ってる管理栄養士
    日本調剤の管理栄養士へのご相談は、処方箋をお持ちでない方でも、どなたでもご利用いただけます。病気というほどではないけれど、ちょっと健康のことが気になるな……災害時の食事のポイントについてもっと知りたい方は、ぜひお気軽に、お近くの日本調剤までお立ち寄りください。また、薬局にご来局いただかなくても、オンライン栄養相談でも皆さまの食事・栄養をサポートしております。オンライン栄養相談をご希望の方は以下の予約フォームよりお申込みください。
栄養だより2024年9月号(PDF)

【参考文献】日本栄養士会.”災害時の栄養・食生活支援マニュアル”.2011年4月.https://www.dietitian.or.jp/data/manual/h23evacuation5.pdf,厚生労働省.”被災地での健康を守るために”.2011年7月25日.https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/hoken-sidou/disaster.html,日本放送協会.”災害用伝言ダイヤル171 使い方のポイントは“あいたいよ”?”.NHK首都圏ナビ.2023年8月17日.https://www.nhk.or.jp/shutoken/newsup/20230804b.html,日本調剤株式会社.”お薬手帳プラスとは”.「お薬手帳プラス」サポートサイト.https://portal.okusuriplus.com/about/,農林水産省.”災害時に備えた食品ストックガイド”.2019年3月.https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/foodstock/guidebook.html,アルファー食品株式会社.”アルファ化米について”.https://www.alpha-come.co.jp/park/alpha_rice.php(閲覧日:2024年8月27日)

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