食事や生活習慣で認知症を予防しよう!【栄養だより2022年5月号】

栄養のはなし

頬杖を突きながら考え事をする高齢女性
日本調剤の薬局(一部のみ)では、季節に合わせた健康情報をお届けする情報紙として、毎月「栄養だより」を配布しています。ご自身の食事や健康に興味を持ち、生活習慣を見直すきっかけにしてもらいたいという思いから、管理栄養士が健康に関する情報を発信しています。その中から一部内容を編集してご紹介します。

認知症ってどんな病気?

単なる物忘れとは異なり、記憶や思考などの認知機能が低下して、6カ月以上にわたって日常生活に支障をきたしている状態。これが認知症です。認知症の種類としては、脳の変性疾患であるアルツハイマー病を原因疾患とする「アルツハイマー型認知症」が最も多く、その他にも「脳血管性認知症」「レビー小体型認知症」などがあります。

健康な人と認知症による物忘れの違い

認知症の主な症状として物忘れがありますが、健康な人であっても物忘れは起こります。では、それぞれの物忘れにはどのような違いがあるのでしょうか。ここでは、健康な人と認知症による物忘れを区別するポイントについてご紹介します。
健康な人の物忘れ

「昨日何を食べたか忘れた」「人の名前や漢字が出てこない」など部分的に忘れることがあってもどこかのタイミングで思い出すことができ、年齢相応に起こる物忘れです。


認知症による物忘れ

「ご飯を食べたこと自体を忘れる」「自分の家が分からなくなる」など日常生活に支障をきたすほど、内容や出来事そのものを忘れてしまいます。

脳トレをして認知症予防!

手指をあまり動かさなくなると、手指と連携している脳の動きも衰えてしまいます。それを防ぐためにも脳トレが重要です。楽しく簡単にできる脳トレ「グーチョキパー」をご紹介しますので、ぜひお試しください。
脳トレグーチョキパー解説図(右手に対する左手の動き)

\楽しく脳トレ♪ グーチョキパー/


【右手】

グー・チョキ・パーを順番に出しましょう。


【左手】

いつも右手に勝つ手を出しましょう。

右手がグーのときは左手はパー、右手がチョキのときは左手はグー、右手がパーのときは左手はチョキを出しましょう。

左右異なる手の動きは脳の活性化に役立ちます!

右手と左手を入れ替えるとさらに難易度がアップします。「故郷」や「大きな古時計」など曲に合わせ、テンポを変えて楽しんでやってみましょう♪


認知症予防のための生活習慣とは?

認知症を予防するためには、早期からの対策が大切です。以下の4つのポイントを押さえて生活習慣の改善に取り組みましょう。
健康診断の問診票と聴診器

【ポイント1】生活習慣病の予防・治療をする

高血圧、脂質異常症、肥満、糖尿病などの生活習慣病は認知症の発症に関連していて、疾患を複数合併している場合はさらに発症リスクが高まると言われています。また、生活習慣病によって引き起こされる動脈硬化は、「脳血管性認知症」や「アルツハイマー型認知症」の発症原因でもあります。
緑道をウォーキングする女性の後ろ姿

【ポイント2】運動習慣を身に付ける

週3回以上、1日30分以上を目安にウォーキングや水泳などの有酸素運動を行うことで脳が活性化し、認知症発症リスクの低下につながります。運動習慣のない方は、毎日10分以上は身体を動かすことから始めましょう。
「NO SMOKING」と書かれたプレート

【ポイント3】禁煙する

喫煙によって脳が委縮し、記憶機能が低下する恐れがあるため、それに伴って認知症発症のリスクも高まります。また、がんや生活習慣病などの原因にもなるため、喫煙者は禁煙することをおすすめします。
公園でラジオ体操をする大勢の人々

人や社会と関わりをもつ

家族や友人・知人との会話や食事、外出といった人との付き合いは、認知機能や身体機能の低下を防ぐトレーニングになります。

管理栄養士のお悩み解決部屋

認知症にならないか心配です……認知症を予防するために、食事ではどんなことに気を付けたらよいのでしょうか?

バランスの良い食事を心掛けましょう。それに加え、DHA・EPAやクルクミンを多く含む食材を摂ることで、認知症を予防する働きが期待されています。

また、トランス脂肪酸を過剰摂取しないように気を付けることも大切です。

竹皿の上にのった2尾のアジ

DHA・EPA

DHA・EPAはいずれも青魚(さば・あじなど)に多く含まれています。DHAは脳の構成成分であり、記憶力や判断力の向上、アルツハイマー病発症予防に有効であると言われています。EPAは血行を促進するため、生活習慣病の予防につながり、間接的に認知症の予防に役立ちます。
お皿に盛られたカレーライス

クルクミン

ポリフェノールの一種で、カレー粉に入っているウコンなどに含まれています。アルツハイマー型認知症の発症に関わるアミロイドβが脳内にたまる速度を抑えるほか、できてしまった老人斑(加齢に伴って脳にみられるたんぱく質の沈着)の分解を促します。
パンに塗られたマーガリン

トランス脂肪酸

ファストフードやマーガリンに多く含まれています。トランス脂肪酸を過剰摂取すると動脈硬化を引き起こしやすくなり、結果として認知症の発症リスクも高まってしまうため、摂り過ぎないように注意しましょう。
  • 野菜を持ってる管理栄養士
    日本調剤の「認定栄養ケア・ステーション」では、地域密着型の栄養ケアの拠点として幅広く手厚いサポートを行っています。処方箋をお持ちでなくても、認知症予防の食事のご相談や献立の考案など承りますのでご相談ください。
栄養だより2022年5月号(PDF)

【参考文献】公益財団法人長寿科学振興財団.”認知症とは”.健康長寿ネット.https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/ninchishou/about.html,公益財団法人長寿科学振興財団.”もの忘れ”.健康長寿ネット.https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/ninchishou/monowasure.html,株式会社主婦の友社.”脳イキイキ! 手あそび指あそび”,株式会社 法研.”ウルトラ図解 認知症”,公益財団法人長寿科学振興財団.”認知症の予防”.健康長寿ネット. https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/ninchishou/yobou.html,WHOガイドライン.”認知機能低下および認知症のリスク低減”,公益財団法人長寿科学振興財団.”認知症予防のための食事とは”.健康長寿ネット. https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyou-shippei/yobou-nichi-shokuji.html

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