季節の変わり目に気を付けよう!「季節性うつ」への対処【栄養だより2024年10月号】

栄養のはなし

薄暗い室内で顔を覆ってうつむいている男性
日本調剤の薬局(一部のみ)では、季節に合わせた健康情報をお届けする情報紙として、毎月「栄養だより」を配布しています。ご自身の食事や健康に興味を持ち、生活習慣を見直すきっかけにしてもらいたいという思いから、管理栄養士が健康に関する情報を発信しています。その中から一部内容を編集してご紹介します。

「季節性うつ」とは?

秋の曇り空と枯れかけている木

季節の変わり目に現れるうつ症状を「季節性うつ」と呼びます。季節性うつは秋から冬にかけて日照時間が減ることによって、脳内における「セロトニン(精神を安定させるホルモン)」の量が不足することが要因とされています。また、暗い時間が長くなり、「体内時計」を調整する機能が乱れることで、身体への影響が出ることがあります。いつもより不調を感じやすい時期に心身を労わる方法について学びましょう。

季節性うつへの対処法

カーテンを開け、太陽の光を浴びている女性

季節性うつを緩和するには、朝に日光を浴びてセロトニンの量をアップさせる自分の感情を話してみる宅・職場の照明を明るくすることなどが有効です。また、一人で悩むと落ち込みが増大してしまうことがあります。生活習慣を改善したり、人と会うことを意識したりして、季節性うつに対処しましょう。

季節性うつに要注意!最近耳にする「HSP」って?

「HSP(正式名称:ハイリー・センシティブ・パーソン)」とは、米国の心理学者が提唱した心理学的概念で、神経が細やかで感受性が強い性質を生まれ持った人を指します。生活の急な変化に弱く動揺する、大きな音や強い光が苦手、ささいなことでも深く考えてしまう、対人関係に疲れがちといった悩みを抱えやすいです。繊細であるがゆえに生きづらさを感じるかもしれませんが、相手の気持ちを察する力が高く、感受性が豊かであるという長所でもあります。HSPの方は自分の特性に合わせた対処法を見つけ、上手に付き合っていくことが大切です。

季節性うつにも効果的!運動とメンタルヘルスの関係

厚生労働省が公表した「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」において、運動には体力や骨の健康とともに、認知機能やメンタルヘルスについても効果があると示されています。具体的にはネガティブな気分を発散させたり、こころと身体をリラックスさせ睡眠リズムを整えたりする作用があります。また、メンタルヘルスだけではなく、運動を通した仲間づくりなど、他者と交流を持つきっかけにもなります。仲間の存在により社会的なつながりができ、日々の原動力になります。
緑道をウォーキングする女性の後ろ姿

メンタルヘルスに特に効果的とされる運動は、身体の中に空気をたくさん取り込みながら行う有酸素運動です。有酸素運動には、ウォーキング、サイクリング、水泳、エアロビクスダンスなどがあります。成人では1日60分以上、65歳以上の高齢者では1日40分の運動が推奨されています。普段運動をしていない方は、近所を散歩したり1駅分歩いたりするなど、1日20分程度でできる、身体がぽかぽかして汗ばむ程度の運動から始めてみましょう。

管理栄養士のお悩み相談部屋

ストレス軽減やメンタルの維持に役立つ食べ物を教えてください。

トリプトファン、GABA(ギャバ)、ポリフェノールなどの栄養素が多く含まれる食品がおすすめです。以下で食品の具体例についてご紹介します。

季節性うつの緩和にも!ストレス軽減・メンタル維持に役立つ栄養素と食品例

トリプトファン…幸せホルモンともいわれているセロトニンの材料

食品例:バナナ、大豆製品、乳製品、ナッツ類

GABA(ギャバ)…一時的な疲労やストレスを軽減するといわれている

食品例:発芽玄米、発酵食品、トマト、ぶどう

ポリフェノール…ストレス軽減やリラックス効果が期待できる

食品例:赤ワイン、コーヒー、ココア、紅茶、ごぼう

季節性うつを予防・改善する!おすすめのリラックス習慣

1日の最後にゆっくりと温かい飲み物を飲むのも、気持ちをリラックスさせる方法のひとつです。就寝前に飲むことで(1)水分補給(2)身体を温める(3)リラックス効果などのメリットを得ることができます。白湯・ホットミルク・ルイボスティー・カモミールティー・ホットココアなどを就寝の1時間前から少量ずつ、時間をかけて飲みましょう。
  • 野菜を持ってる管理栄養士
    日本調剤の管理栄養士へのご相談は、処方箋をお持ちでない方でも、どなたでもご利用いただけます。病気というほどではないけれど、ちょっと健康のことが気になるな……季節性うつの緩和につながる食品についてもっと知りたい方は、ぜひお気軽に、お近くの日本調剤までお立ち寄りください。また、薬局にご来局いただかなくても、オンライン栄養相談でも皆さまの食事・栄養をサポートしております。オンライン栄養相談をご希望の方は以下の予約フォームよりお申込みください。
栄養だより2024年10月号(PDF)

【参考文献】日本医療・健康情報研究所/創新社.”秋に気持ちが落ち込む「季節性うつ病」 メンタルを強くする5つの方法”.保健指導リソースガイド.2016年10月6日. https://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2016/005587.php,沢井製薬株式会社.”心が疲れやすくて生きづらい…それは「HSP」かもしれません”.サワイ健康推進課.2021年3月.https://kenko.sawai.co.jp/mental-care/202103.html,厚生労働省.”健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023”.2024年1月.https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/undou/index.html,厚生労働省.”失敗したら笑ってみる”.こころもメンテしよう.https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/self/self_06.html,株式会社あすか製薬メディカル.”ストレス軽減におすすめの食べ物を紹介!精神を落ち着かせるには何を食べるべき?”.みんなのホルモン研究所.2024年6月12日.https://www.aska-pharma.co.jp/media_men/column/stress-food/,株式会社Morght.”【医師監修】寝る前の飲み物おすすめ7選!飲むといいもの、避けたほうが良い飲料も紹介”.WENELL.2023年7月24日.https://nell.life/wenell/2417/ (閲覧日:2024年9月25日)

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