知ることが対策の第一歩!~フレイル・サルコペニア~【栄養だより2020年6月号】

栄養のはなし

杖を持って歩く老人
日本調剤の薬局(一部のみ)では、季節に合わせた健康情報をお届けする情報紙として、毎月「栄養だより」を配布しています。ご自身の食事や健康に興味を持ち、生活習慣を見直すきっかけにしてもらいたいという思いから、管理栄養士が健康に関する情報を発信しています。その中から一部内容を編集してご紹介します。

フレイル・サルコペニアを知っていますか?

「疲れやすくなった」「食事量が減った」などと感じることはありませんか?食事量の減少や体力の低下などにより要介護になる可能性が高くなると言われているので、ご高齢の方は特に注意が必要です。いつまでも健康に過ごすためには「バランスの良い食事」と「適度な運動」を心掛けましょう。

フレイル(虚弱)とは

加齢に伴い体重が減少し疲れやすくなるなど、体の動きが弱くなってきた状態を指します。この状態になると要介護になる可能性が高いと言われていますが、早期に生活習慣を見直すことで健康な状態に戻れる可能性があります。ご自身の今の状態をチェックしてみましょう!

フレイルチェック

 □ 体重が減ってきた(6か月間で2~3㎏以上)

 □ 体を動かす頻度が減った     

 □ 歩行スピードが遅くなった

 □ 手に力が入らない

 □ 疲れやすくなった


チェックが1~2つの方はフレイル予備軍、チェックが3つ以上の方はフレイルの可能性があります。

サルコペニアとは

ギリシャ語で筋肉を表す「サルコ」と、喪失を表す「ペニア」を組み合わせた造語で、フレイルからさらに筋肉量が減少した状態を指します。筋肉量は40歳から少しずつ減少し、60歳を超えると減少率はさらに加速していくと言われています。加齢の他に、たんぱく質摂取量の減少や活動量の減少により、作られる筋肉が少なくなることがサルコペニアの主な原因です。

さらに気をつけたい!サルコペニア肥満

  • 指で掴まれたお腹まわりの脂肪
    サルコペニア肥満とは、サルコペニア(筋肉量の減少)と肥満(体脂肪量の増加)が重なった状態を指します。通常のサルコペニアや肥満よりも外見上は気付きにくいことが多く、生活習慣病や要介護になるリスクが高くなります。


食生活からフレイル・サルコペニアを予防しよう!

食生活のポイント

栄養バランスの良い食卓

ポイント1

1日3食(朝・昼・晩)食べましょう。


ポイント2

主食・主菜(肉・魚・卵・大豆製品)・副菜(野菜・海藻・きのこ)・乳製品・果物をバランス良く取り入れましょう。

ポイント3
筋肉の素になるたんぱく質を摂りましょう。
   1日のたんぱく質の推奨量
   【男性】18歳~64歳65g 65歳以上60g
   【女性】18歳以上50g

たんぱく質(主菜)は自分の手のひらが量りになります。

1食の大きさの目安は指を除いた手のひら分を目安にしましょう。

ポイント4

骨をつくるカルシウムを摂りましょう。

骨粗鬆症予防のためのカルシウムの推奨量は男女ともに700~800mg/日です。骨粗鬆症の予防がフレイル・サルコペニアの予防にもつながります!

カルシウムを多く含む食品

 牛乳(コップ1杯)…220mg

 納豆(1パック) …45mg

 小松菜(1/4束) …119mg

 豆腐(1/3丁) …120mg



管理栄養士のお悩み解決部屋

フレイル・サルコペニアを予防するためにはどれくらい運動すればいいの?

18歳~64歳の方は1日60分、65歳以上の方は1日40分からだを動かしましょう。運動施設に行かなくても、家の中や外でできる運動をご紹介します。

10分でできる運動メニュー

●ウォーキング1000歩

●階段上り下り

●ラジオ体操

●日本調剤オリジナルトレーニング「ちょこトレ」3分×3セット

ちょっとした運動でロコモ予防!~日本調剤オリジナルちょこっとロコモ予防トレーニング「ちょこトレ」~

  • 「ちょこトレ」レクチャー
    かかとの上げ下げなどの運動を日常生活に取り入れるだけで、フレイルやサルコペニアを予防することができます。

    日本調剤では"3分でできるちょこっとロコモ予防トレーニング"として、座ったまま気軽にトライできる「ちょこトレ」を店内モニターで毎日放映しています!お薬の待ち時間に"ちょこっと"やってみませんか?

    なお、全5種類のトレーニング動画の一部をYouTubeで公開しています。ぜひご覧ください。


    ちょこトレ① 骨盤をゆらそう https://youtu.be/r3gcMIxw6U0
    ちょこトレ③ 股関節をほぐそう https://youtu.be/fQ9aOoteLqU
    ちょこトレ⑤ 足首を鍛えよう https://youtu.be/UgJmAkiv44I

テレビを見ながら運動したり、お仕事や家事の合間に合計10分、無理なく取り入れてみましょう。

テレビを見「ながら」取り入れられる運動メニュー

 ●スクワット

 ●かかとの上げ下げ

 ●太ももの筋トレ

 ●ストレッチ

など

栄養だより2020年6月号(PDF)

【参考文献】 オムロン ヘルスケア株式会社."生活習慣病Q&A vol.185". https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/qa/185.html,公益財団法人長寿科学振興財団."フレイルの診断".健康長寿ネット. https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/frailty/shindan.html,アクティブシニア「食と栄養」研究会."サルコペニアとは".https://activesenior-f-and-n.com/sarcopenia/outline.html, アクティブシニア「食と栄養」研究会."サルコペニア肥満". https://activesenior-f-and-n.com/sarcopenia/obesity.html, 厚生労働省."日本人の食事摂取基準(2020年版)". https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09411.html, 公益財団法人長寿科学振興財団."フレイルの治療".健康長寿ネット. https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/frailty/chiryo.html,おいしい健康,"「手ばかり」で食事の適量が一目瞭然!おうちごはんも外食もバランスの良い献立".https://oishi-kenko.com/articles/meals_kondate,農林水産省."大切な栄養素カルシウム".https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/minna_navi/topics/topics1_05.html,スマート・ライフ・プロジェクト."身体活動・運動".健康寿命をのばそう!.https://www.smartlife.mhlw.go.jp/disease/exercise/

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