身近に潜む食中毒の危険を避けるためには?【栄養だより2022年7月号】

栄養のはなし

お腹の調子が悪い人
日本調剤の薬局(一部のみ)では、季節に合わせた健康情報をお届けする情報紙として、毎月「栄養だより」を配布しています。ご自身の食事や健康に興味を持ち、生活習慣を見直すきっかけにしてもらいたいという思いから、管理栄養士が健康に関する情報を発信しています。その中から一部内容を編集してご紹介します。

食中毒の原因と対策

6月から9月ごろは気温と湿度が高く、細菌が繁殖しやすくなるため、食中毒にかかる人が増えてしまいます。食中毒の原因となる細菌ごとにどのような症状が引き起こされ、どのような予防法があるのかご存じでしょうか?正しい知識を身に付けることで、発症と重症化を防ぎましょう!
食器に忍び寄る怪しい影

サルモネラ菌

原因となる食品
十分に加熱していない卵・肉・魚
潜伏期間
食後6~48時間
パックに入った卵

サルモネラ菌が引き起こす食中毒の主な症状は発熱、腹痛、嘔吐、激しい下痢、頭痛です。食品は冷蔵庫でしっかりと保管し、調理時には中心温度75℃で1分間以上加熱しましょう。

カンピロバクター

原因となる食品
十分に加熱していない肉、井戸水

市販で流通する鶏肉の多くは、処理工程の理由からガンピロバクターに汚染している可能性が高いため、特に注意が必要です。

潜伏期間
食後2~7日
まな板の上にある細かく切られた鶏肉

カンピロバクターが引き起こす食中毒の主な症状は発熱、腹痛、下痢、倦怠感です。加熱に弱い細菌なので、調理時には生煮え・生焼きに注意し、中心温度75℃で1分間以上加熱しましょう。

黄色ブドウ球菌

原因となる食品
手作りのおにぎり・お弁当・調理パン
潜伏期間
食後30分~6時間
おにぎりに表情がついたデコ弁

黄色ブドウ球菌が引き起こす食中毒の主な症状は腹痛、激しい嘔吐、下痢です。動物や人の皮膚、鼻腔などに広く分布する細菌なので、調理前にはよく手を洗い、手指に傷があるときは傷口を覆ったり、使い捨てゴム手袋を装着しましょう。

腸管出血性大腸菌(O157など)

原因となる食品
十分に加熱していない肉・生野菜
潜伏期間
食後12~60時間
横一列に並べられた色とりどりの野菜

腸管出血性大腸菌が引き起こす食中毒の主な症状は発熱、激しい腹痛、下痢です。調理時には中心温度75℃で1分間以上加熱しましょう。また、生野菜は流水でしっかり洗浄することが大切です。
食中毒は風邪や寝冷えと症状が似ているため、食中毒と気付かずに重症化することも少なくありません。上記の特徴を見て思い当たることがあった場合は医師に相談しましょう。

食中毒を防ぐためには?テイクアウト時の注意点

テーブルの上に置かれたTAKEOUTのカード

食品が傷みやすくなるこれからの季節。テイクアウトやデリバリーを利用する際は、気を付けるべきポイントをしっかり意識し、安全な食生活を送りましょう!

テイクアウト時の購入ポイント

食事をテイクアウトする際は、以下の4つのポイントをしっかり押さえましょう。


□ 購入後はすぐに帰宅し、長時間食品を持ち歩かない

□ 常温で放置せず、冷蔵庫に保管する

□ 再加熱する際は電子レンジ等で中心までしっかり加熱する

□ 食事の前にはしっかり手を洗う


キッシュが入ったテイクアウトのサラダ

注意したいテイクアウトメニュー

生野菜サラダフルーツ鮮魚介類などの傷みやすい食品や、半熟卵レアなお肉などの加熱が必要な食品には特に注意が必要です。どの食品も新鮮で傷んでいないものを選び、色やにおい、味がおかしいときは思い切って捨てましょう。また体力が落ちている人や高齢者、子どもなど免疫力の弱い人が食べる場合は、十分に注意しましょう。

管理栄養士のお悩み相談部屋

免疫力を維持するためにオススメの食材を教えて!

発酵食品食物繊維を多く含む食材には、腸内環境を整える働きがあります。腸には全身の免疫細胞の約6~7割が集まるといわれているので、腸内環境を整えて免疫力を維持するために積極的に摂りたいですね。では、具体的にどんな食材があるのか、一緒に見てみましょう。
たくさん並べられている発酵食品

生きた善玉菌「プロバイオティクス」

納豆ヨーグルトなど、ビフィズス菌や乳酸菌を含む発酵食品には、健康に有用な作用をもたらす生きた善玉菌「プロバイオティクス」が含まれています。プロバイオティクスは腸内に住み着くことがないので、毎日続けて摂取し、腸に補充しておきましょう。
皿に盛られたりんごとバナナ

善玉菌の数を増やす「プレバイオティクス」

野菜類果物類豆類など、オリゴ糖や食物繊維を含む食材には、善玉菌を増やす働きを持つ「プレバイオティクス」が含まれています。プロバイオティクスと名前が似ていますが、こちらは消化・吸収されることなく大腸まで直接届き、腸内にもともと存在する善玉菌に影響して数を増やす働きがあります。
  • 野菜を持ってる管理栄養士
    日本調剤の管理栄養士へのご相談は、処方箋をお持ちでない方でも、どなたでもご利用いただけます。病気というほどではないけれど、ちょっと健康のことが気になるな……食中毒予防についてもっと話を聞いてみたい!と思ったら、ぜひお気軽にお近くの日本調剤にお立ち寄りください。
栄養だより2022年7月号(PDF)

【参考文献】農林水産省.”食中毒の原因と種類”.https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kodomo_navi/featured/afp1.html,逓信病院.”食中毒にご用心~夏場の食中毒対策~(6月)”.https://www.hospital.japanpost.jp/health/health201206.html, 内閣府大臣官房政府広報室.”食中毒予防の原則と6つのポイント”.政府広報オンライン.2022年6月1日.https://www.gov-online.go.jp/featured/201106_02/index.html,公益社団法人日本食品衛生協会.”食中毒などの話”.http://www.n-shokuei.jp/eisei/sfs_index.html,消費者庁.”テイクアウト等を利用するときのポイント”.2020年7月1日.https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/food_safety/food_safety_portal/topics/topics_004.html,厚生労働省.”テイクアウト・デリバリーにおける食中毒予防”. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/01_00003.html,全国健康保険協会.“腸内環境を整えて免疫力をUP!!”.2016年9月30日.https://www.kyoukaikenpo.or.jp/shibu/shimane/cat070/2013030401/20130305/20170119007/,農林水産省.”生の野菜や果物を安全でおいしく食べるために”.https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/fresh_vege.html,厚生労働省.”腸内細菌と健康”.e-ヘルスネット.2019年3月4日.https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html

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