ライフステージで異なる!口腔ケアの方法を学ぼう【栄養だより2024年8月号】

栄養のはなし

口元を指差して笑う女性
日本調剤の薬局(一部のみ)では、季節に合わせた健康情報をお届けする情報紙として、毎月「栄養だより」を配布しています。ご自身の食事や健康に興味を持ち、生活習慣を見直すきっかけにしてもらいたいという思いから、管理栄養士が健康に関する情報を発信しています。その中から一部内容を編集してご紹介します。

自分の歯で食事を楽しむために大切な「口腔ケア」

口腔に関する健康課題は、幅広い年代にわたり存在しています。厚生労働省は、「8020(ハチ・マル・ニイ・マル)運動」という「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という運動を推進しており、歯が20本以上あれば、満足に食事ができるといわれています。いつまでも自分の歯で食事を楽しむために、ライフステージに合わせた口腔ケアを行い、お口の健康を維持しましょう。

日ごろの口腔ケアのポイント

タオルの上に置かれたデンタルケアグッズ

虫歯を予防するために、フッ化物配合歯磨き粉デンタルフロス歯間ブラシを使用しましょう。また、定期的に歯科検診を受診し、口腔内の健康を維持しましょう。

ライフステージ別の口腔ケアのポイント

0~5歳(乳幼児期)
乳歯が生え、食べる機能を獲得する時期

・よくかむ習慣をつける

・乳歯は虫歯になりやすいため、保護者の仕上げ磨きが必要

6~17歳(学齢期)
・乳歯から永久歯に生え変わる時期

・虫歯や歯周病、生活習慣改善に自ら取り組む習慣をつける

18~64歳(成人期)
口腔状態や健康への関心が薄れやすい時期

・歯周病の増加や悪化が進みやすいため、定期検診や自らの口腔ケアによる予防が大切

65歳以上(高齢期)
唾液減少による虫歯・歯周病の増加や悪化が進みやすい時期

歯の喪失により食事量が低下する

・むせ、誤嚥(ごえん)のリスクが増加する

食べ物をしっかりとかんで口腔ケア!かむことの効果

よくかむことにはさまざまな効果があり、その中でも代表的な8つの効果を表す「ひみこの歯がいーぜ」という標語があります。弥生時代の卑弥呼は、現代人と比べてかむ回数が6倍だったとされており、おそらく良い歯や歯茎をしていたという推定から、この標語は作られました。具体的にどのような効果があるのか、以下で確認してみましょう。

ひみこの歯がいーぜ

【ひ】 肥満予防:脳にある満腹中枢が刺激され、食べ過ぎや肥満を防ぎます。

【み】 味覚の発達:素材そのものの味がよくわかるようになり、味覚が発達します。

【こ】 言葉の発音がはっきり:口まわりの筋力が鍛えられ、しっかりとした発音になります。

【の】 脳の発達:脳細胞の働きが活発になり、子どもの知育や高齢者の認知症予防に役立ちます。

【は】 歯の病気を防ぐ:虫歯や歯周病を予防する唾液の分泌量が増加します。

【が】 ガンの予防:唾液によって、食べ物の中の発がん性物質や細菌が減少します。

【いー】胃腸の働きを促進:消化酵素がたくさん出て、食べ物の消化を助けます。

【ぜ】 全身の体力向上と全力投球:歯が丈夫になるとともに、かみしめる力がつき、運動パフォーマンスが向上するといわれています。

管理栄養士のお悩み相談部屋

「食べ物はよくかみなさい」といわれるけど、具体的に何回くらいかめばいいのでしょうか?

日本歯科衛生士会によると、かむ回数の理想は30回以上です。以下で、かむ回数を増やすコツについてご紹介します。

口腔ケアのために重要な、かむ回数を増やすコツ

現代人がひと口にかむ平均回数は、10~20回といわれています。食事中はかむ回数を数えたりひと口の量を少なめにしたりすることなどを意識しましょう。また、調理の際にも一工夫加えることで、かむ回数を増やすことができます。
根菜やこんにゃくが入った煮物

食材選びのコツ

根菜・豆・きのこ・麦などの食物繊維が豊富な食材や、こんにゃく・たこ・いかなどの弾力のある食材など、歯ごたえのある食材を選びましょう。食感の異なる食材を組み合わせることもおすすめです。

包丁で切られるパプリカ

調理のコツ

食材を大きめに切ったり硬めにゆでたりすると、かむ回数が増えます。また、普段千切りにしている食材をざく切りにしたり、薄切りにしている食材を乱切りにしたりして、切り方を変えることもよいでしょう。

料理を味見皿によそうエプロン姿の女性

味つけのコツ

薄味にすることで料理を味わいながら食べることができ、結果的にかむ回数が増えます。

  • 野菜を持ってる管理栄養士
    日本調剤の管理栄養士へのご相談は、処方箋をお持ちでない方でも、どなたでもご利用いただけます。病気というほどではないけれど、ちょっと健康のことが気になるな……かむ回数を増やす食事のコツについてもっと知りたい方は、ぜひお気軽に、お近くの日本調剤までお立ち寄りください。また、薬局にご来局いただかなくても、オンライン栄養相談でも皆さまの食事・栄養をサポートしております。オンライン栄養相談をご希望の方は以下の予約フォームよりお申込みください。
栄養だより2024年8月号(PDF)

【参考文献】東京都保健医療局.”東京都歯科保健推進計画「いい歯東京」(第一次改定)”.2024年3月.https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/iryo/iryo_hoken/shikahoken/mokuhyo/shikakeikaku1kai.files/00shikakeikakukai1.pdf,公益社団法人日本歯科医師会.”「8020(ハチマルニイマル)運動」とは?”.https://www.jda.or.jp/enlightenment/8020/,株式会社学校食事研究会.”ひみこのはがいーぜ”.月刊学校の食事.https://www.gakkounosyokuji.com/無料ダウンロード/食育標語/ひみこのはがいーぜ/,一般財団法人日本口腔保健協会.”ひみこのはがいーぜ”.https://jfohp.or.jp/info/2019/5002/ひみこのはがいーぜ,日本歯科衛生士会.”噛む力を保ちましょう”.https://www.jdha.or.jp/pdf/health/hatookuchi_20200401_2.pdf,山口市.”よく噛んで健康の維持を”. 2023年6月1日.https://www.city.yamaguchi.lg.jp/site/kenko/139214.html(閲覧日:2024年7月24日)

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