「オーラルフレイル」を知っていますか?お口の健康について考えよう!【栄養だより2022年2月号】

栄養のはなし

新緑を背景にして置かれた歯の模型
日本調剤の薬局(一部のみ)では、季節に合わせた健康情報をお届けする情報紙として、毎月「栄養だより」を配布しています。ご自身の食事や健康に興味を持ち、生活習慣を見直すきっかけにしてもらいたいという思いから、管理栄養士が健康に関する情報を発信しています。その中から一部内容を編集してご紹介します。

オーラルフレイルとは

「フレイル」とは加齢により心身が老い衰えた状態を指し、大きく「身体的フレイル」「精神・心理的フレイル」「社会的フレイル」の3種類に分けられます。厚生労働省もフレイル予防を視野に入れて2020年版食事摂取基準を策定しています。

「オーラルフレイル」とは、口腔機能が衰えた状態を指します。かむ力の低下や舌の動きの悪化が食生活に悪影響を及ぼし、身体機能の低下につながります。さらには滑舌が悪くなり、人と楽しく食事ができなくなって閉じこもったりと、人や社会との関わりが減ってしまうことで心理的、社会的にも悪影響を及ぼすと言われています。

オーラルフレイルチェック

□ 奥歯でしっかりと噛めない

□ かむと痛んだり不快感がある

□ 食べこぼしがある

□ むせやすい

□ 口が乾燥しやすい

□ 滑舌が悪くなっている


一つでも当てはまる項目があれば、オーラルフレイルが始まっている可能性があります。 口や舌の体操をして予防をしましょう。

フレイル予防に欠かせない三位一体(栄養・身体活動・社会参加)を示す図

フレイルドミノに注意しよう!

フレイルを予防するには、「栄養・かむ力の維持」「身体活動」「社会参加」の三位一体が必要だと言われています。どれかが欠けてしまうと、フレイルに陥る可能性があります。
どの要素が欠けることでフレイルに陥ってしまうか、フレイルの入り口は人それぞれ異なります。だからこそ、一つの入り口からドミノ倒しにならないようにするために、それぞれの予防に努めることが大切です。ボランティア活動に参加したり、なるべく階段を使ってみたり、あえて歯ごたえのある食品を選ぶようにしたりと、早い時期からフレイル予防を心掛けましょう。
フレイル・ドミノの図

お口の体操をしよう!

以前に比べて食べ物が飲み込みにくくなった……ということはありませんか?お口の機能が低下していないか確認してみましょう。気軽にできるチェック方法をご紹介します。
右手を喉に当てる高齢女性

反復唾液嚥下テスト

「嚥下(えんげ)」とは、食べ物を口の中でかむことで飲み込みやすい大きさに変え、口から喉を通り胃へと送り込むことです。喉に人差し指を当てて、唾を飲み込んでみてください。この飲み込みが30秒で何回できるかやってみましょう。2回以下だった方は嚥下機能が低下している恐れがあるので注意が必要です。

パタカラ体操をやってみよう!

お口の機能をアップさせるための体操として、「パタカラ体操」があります。唾液がよく出るようになる、舌が滑らかに動くようになるなどの効果が期待できますのでお試しください。

「パ」:唇をはじくように

「タ」:舌先を上の前歯に裏につけるように

「カ」:舌の奥を上顎の奥につけるように

「ラ」:舌をまるめるように


各発音8回ずつを2セット行います。大きな声ではっきりと発音しましょう!

管理栄養士のお悩み相談部屋

オーラルフレイルを予防するために、食事ではどんなことに気を付けたらいいの?

やわらかいものばかり食べているとかむ力が衰えてしまうため、普段からよくかんで食事するように意識しましょう。また、フレイル予防のためにはバランスの良い食事が大切です。さまざまな食材を取り入れることでも自然とかむ回数を増やすことができますよ。

かむ回数を増やすにはどうしたらいいの?

簡単な工夫でかむ回数を増やす方法をご紹介します。

・一口分の量を減らす

・かみごたえのある食材を選ぶ

・歯ごたえを残す(大きめに切る、加熱時間を短めにする など)

食事のバランスを整えるにはどうしたらいいの?

1回の食事に「主食」「主菜」「副菜」をそろえることで、さまざまな栄養素をバランスよく摂ることができます。特にたんぱく質には体をつくる重要な役割があります。

1日のたんぱく質推奨量


男性 18~64歳:65g

65歳以上:60g

女性 18歳以上:50g


たんぱく質は、1食につき手のひらにのる程度の量が目安です。フレイル予防のためにも毎食取り入れて不足しないように意識しましょう!

  • 野菜を持ってる管理栄養士
    日本調剤の管理栄養士へのご相談は、処方箋をお持ちでない方でも、どなたでもご利用いただけます。病気というほどではないけれど、ちょっと健康のことが気になるな……オーラルフレイルについてもっと話を聞いてみたい!と思ったら、ぜひお気軽にお近くの日本調剤にお立ち寄りください。
栄養だより2022年2月号(PDF)

【参考文献】厚生労働省.”口腔機能の健康への影響”.e-ヘルスネット.https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-08-001.html,厚生労働省.”お口の健康を保つために”.地域がいきいき 集まろう!通いの場.https://kayoinoba.mhlw.go.jp/article/013/,公益財団法人長寿科学振興財団.”摂食・嚥下障害の診断”.健康長寿ネット.https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/sesshokushougai/shindan.html,厚生労働省.日本人の食事摂取基準2020年版,株式会社クリニコ.”オーラルフレイル対策のためのお口の運動と食生活”.https://www.clinico.co.jp/clinico/medical/carest/assets/img/activities/docs/0225_Oralflail_tachiotoshi.pdf,御殿場市.”1日分の食事の目安を、自分の手で考えよう!”.https://www.city.gotemba.lg.jp/kenkou/c-1/c-1-11/1880.html

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