糖尿病を予防・改善しよう!糖尿病と運動のつながり【栄養だより2022年11月号】

栄養のはなし

ジャージでウォーキングしている中年男性
日本調剤の薬局(一部のみ)では、季節に合わせた健康情報をお届けする情報紙として、毎月「栄養だより」を配布しています。ご自身の食事や健康に興味を持ち、生活習慣を見直すきっかけにしてもらいたいという思いから、管理栄養士が健康に関する情報を発信しています。その中から一部内容を編集してご紹介します。


世界保健機関(WHO)では11月14日を「世界糖尿病デー」と定めています。糖尿病とは、血液中のブドウ糖(血糖)が多くなる病気であり、予防・改善するには食生活や運動などの生活習慣の改善に加え、口腔ケアを行うことが大切です。今回は糖尿病と運動の関連性について、ご紹介します。

糖尿病と運動

運動をすると、血中のブドウ糖が細胞や筋肉の中に吸収され、血糖値の低下が期待できます。また長期的に運動を続けることで、血糖値を一定の範囲内に抑える働きがあるインスリンというホルモンの効き具合(インスリン抵抗性)が改善されるといわれています。このように運動は糖尿病の予防・改善につながります。日本人の3人に1人以上が運動不足であるともいわれている今だからこそ、日々の生活に運動を取り入れて運動不足を解消し、糖尿病を予防しましょう!
水中ゴーグル

糖尿病の予防に効果的な運動

糖尿病の予防には、全身の筋肉を使用する「有酸素運動」と、筋肉に抵抗をかける「レジスタンス運動」がよいとされており、これら2つの運動は、組み合わせて行うことでより効果的に糖尿病を予防できるといわれています。有酸素運動には歩行ジョギング水泳、レジスタンス運動には椅子の立ち座り姿勢を正した状態での腹筋壁を使った腕立て伏せなどが挙げられます。水中歩行は有酸素運動とレジスタンス運動の両方に当てはまり、膝への負担も少ないため、おすすめです。

気軽にできる!活動量を増やすための工夫

糖尿病を予防するためには、日常的に活動量を増やすことも大切です。普段の生活の中で、簡単に取り入れられる行動から実践してみましょう。いくつか例をご紹介します。
スーツで階段を上る女性

□ 近距離は車や自転車ではなく徒歩にする

□ エスカレーターやエレベーターの代わりに階段を使用する

□ 信号待ちや電車の中ではつま先立ちをする

□ 歯磨き中はかかとの上げ下げをする

□ 床掃除は、モップやぞうきんなど手作業の道具を使う

すでに糖尿病の治療をしている方にとっても、生活習慣を改善することは大切です。薬物療法を含め、治療方法は医師の指示に従いましょう。また健康状態に不安がある方は、運動する前に医師に相談してください。

血糖値の抑制に!たんぱく質を摂り、筋肉を増やそう

力こぶ

筋肉が減ると筋肉でのブドウ糖消費量も減ってしまい、結果的に血糖値が上がりやすくなります。筋肉を効率よく増やすためには、運動だけでなく筋肉をつくるたんぱく質が必要です。必須アミノ酸(体内でつくり出すことのできない9種のアミノ酸)をバランスよく含んでいる良質なたんぱく質を摂り、血糖値の上昇を抑えましょう。

良質なたんぱく質を含んでいる食品としては以下のような食品が挙げられます。

動物性たんぱく質

鶏卵肉類、魚類、牛乳などが挙げられます。

植物性たんぱく質

豆腐大豆、納豆、豆乳などが挙げられます。

他にも、手軽にたんぱく質が摂れる食品プロテイン、アミノ酸飲料などを上手に活用し、糖尿病予防に役立てましょう。また筋肉量を維持・増加させるためには、たんぱく質を3食均等に摂ることが重要です。特に、パンやごはんのみの手軽なメニューで済ませてしまいがちな朝食には、たんぱく質が不足する傾向にありますので、納豆や牛乳、ヨーグルトなどを1品プラスし、不足しやすいたんぱく質を補いましょう。
日本調剤のオンラインストアでは、健康や栄養に関するさまざまな商品をご用意しています。

管理栄養士のお悩み相談部屋

糖尿病と関係の深い生活習慣病には、どのような病気がありますか?

代表的な病気に、歯周病があります。歯周病とは、「歯周ポケット」と呼ばれる歯と歯茎の隙間で細菌が増殖した結果、歯茎に炎症が起こり、歯を支えている骨を溶かしてしまう病気です。

では、どのような関連性があるのか、ご説明します。

糖尿病と歯周病の関連性

糖尿病を患っている方は、免疫機能の低下により歯の周りの組織が炎症しやすく、歯周病が重症化しやすいといわれています。また歯周病を引き起こす細菌は毒素を生み、人間の体はその毒素を排除するための物質を生み出します。この物質にはインスリンの効きを悪くする働きがあり、血糖コントロールが難しくなります。
歯周病と糖尿病の相互作用の図

一方で、歯周病をお持ちの糖尿病の方は、歯周病の治療を実施することで、血糖コントロールの指標となるHbA1cが改善する可能性があります。歯周病の治療を行い、口腔の健康を維持することは、全身の健康を維持することにつながりますので、症状のある方は早めに医療機関を受診しましょう。


●関連リンク
歯周病と糖尿病の関係とは?歯の健康を考えよう!【栄養だより2020年11月号】

  • 野菜を持ってる管理栄養士
    日本調剤の「認定栄養ケア・ステーション」では、地域密着型の栄養ケアの拠点として幅広く手厚いサポートを行っています。処方箋をお持ちでない方でも、糖尿病に関する食事療法のご相談や献立の考案も承りますので、ご相談ください。
栄養だより2022年11月号(PDF)

【参考文献】鹿児島県国民健康保険団体連合会.”第5回 「糖尿病予防のための運動」-教えて健康法 運動による疾病予防編-”.2022年1月27日.https://kokuhoren-kagoshima.or.jp/kenkouhou/18495,全日本民医連.”特集2 糖尿病 日本人がなりやすい病気”.2015年11月30日.https://www.min-iren.gr.jp/?p=25409,東京都福祉保健局.”日常生活の工夫で体を動かそう(生活活動)”.とうきょう健康ステーション.https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kensui/undou/katsudou.html,一般社団法人 日本肥満症予防協会.”WHOの運動推進グローバル計画 運動不足は世界に蔓延 日本でも3人に1人が運動不足 「世界行動計画」の日本語版を公開”.2020年03月19日.http://himan.jp/news/2020/000382.html,オムロン ヘルスケア株式会社.”家庭での「筋トレ」で血糖値を改善”.2012年12月10日.https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/life/114.html,株式会社明治.”朝のたんぱく質と筋肉づくり・カラダづくり”.https://www.meiji.co.jp/milk-protein/research-result/morning/article-5.html,厚生労働省.”良質なたんぱく質”.e-ヘルスネット.2019年6月12日. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-036.html,厚生労働省.”口腔の健康状態と全身的な健康状態の関連”.e-ヘルスネット.2020年8月17日.https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-01-006.html,厚生労働省.”歯周疾患の症状・原因・進行”.e-ヘルスネット.https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-03-001.html,公益社団法人 日本歯科医師会.”歯周病と糖尿病の関係”.歯とお口のことなら何でもわかる テーマパーク8020.https://www.jda.or.jp/park/relation/periodontaldisease-diabetes_02.html(閲覧日:2022年10月19日)

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